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民主党圧勝の陰にキャッチフレーズの上手さ(1)


 いまさら選挙ネタでもないと思うが、いつ見ても選挙はドラマ。面白い。
こういうと真面目な読者にお叱りを受けそうだが、今回の選挙をPRという側面から見ていくと民主党勝利の別の一因が見えてくる。
 ひと言でいうと、民主党は選挙上手になった。
もちろん、だからこそ圧勝したわけだが。

狸が出そうな所でも「政権交代」

 選挙上手といえば、9月に岡山県北の実家に帰省した折、小沢氏の選挙対策の凄さをまざまざと見せつけられた。
 兵庫県佐用町・岡山県美作市を襲った8月の豪雨被害の復旧状況を見て回るついでに、棚田と彼岸花を探して山奥に迷い込んでしまったのだ。
そのお陰で河川の氾濫状況が想像以上に広範囲にわたっていたことが分かったのは収穫だったが、山の中の細い道をグルグルと走り回る羽目になった。
 そこで目にしたのは民主党の「政権交代」というポスター。
こんな人通りもない場所になぜ、と思うのだが、山道や畑の側など至る所に立っているのだ。
本来なら自民党の地盤である。
そこに民主党の「政権交代」と大書されたポスターが張られているのだから異様である。
恐らく自民党支持時代でさえ、これほどのポスターが張られたり立てられたりしたことはないに違いない。
まさに農民の反乱。
民主党が圧勝するはずである。

 これを旧来型の土着戦術、小沢流選挙戦術とするなら、次は都市型のPR戦術。
 特に今回際立っていたのは都市型のPR戦術の上手さである。
いわく「森の伐採」、「真夏の雪子の政権交代」、「クマ退治」
 こう聞いても該当選挙区以外の人間にはなんのことか即座にはピンと来ないだろうが、「森の伐採」は石川2区、「真夏の雪子の政権交代」は群馬4区、「クマ退治」は長崎2区で民主党が使ったキャッチフレーズ。
ともに候補者は女性である。

うまいキャッチフレーズ

 「森の伐採」は自民党の大物議員、森喜朗氏(72歳)に挑んだ民主党の新人田中美絵子氏(33歳)。
 「真夏の雪子の政権交代」は福田康夫元首相(72歳)に挑んだ三宅雪子氏(44歳)。
 「クマ退治」は民主党新人、福田衣里子氏(28歳)陣営が使ったキャッチフレーズ。クマとは自民党大物議員の久間章生氏(68歳)のこと。「久間(きゅうま)」が「くま」とも読めることから、「衣里子のクマ退治」となったわけだ。

 結果、「クマ」は退治され、「森」は伐採寸前まで追い詰められ、「真夏の雪子」も非常に善戦し、「政界の井上和香」と言われた田中美恵子氏とともに比例区で復活当選を果たしたのはご存知の通りだ。

 このように今回の選挙はキャッチフレーズの勝利という側面もある。
ところで民主党が選挙上手になったのは2007年の参議院選挙の時から。
この時、注目されたのが岡山県の「姫の虎退治」。
結果は姫井由美子氏が自民党大物議員の片山虎之助氏を「退治」し、当選したのはご存知の通りだ。
                                              (2に続く)


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